熊本近代文学研究会6月合同例会のお知らせ

熊本近代文学研究会
会員の皆様


拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
さて、熊本近代文学研究会 6月合同例会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。


    記
【日時】  6月21日(土) 午後2時より
【会場】  熊本大学 くすの木会館
(発表1)
【発表者】 松本 有紀 氏
【発表題目】 北原白秋邪宗門』は象徴詩か?―『邪宗門』出版当時の詩壇の動向から―
(発表2)
【発表者】 柴田 文佳 氏
【発表題目】 寺山修司論―短歌作品を中心に―


【発表1 松本 有紀 氏 : 発表要旨】
 明治42年3月、北原白秋の処女詩集『邪宗門』が「象徴詩」を名乗り、出版される。それは、「象徴詩の成熟の頂點」とされた『有明集』(明治41年)の著者である蒲原有明が、当時大きな勢力となっていた自然主義から激しい批判を受け、詩壇を去った直後のことであった。
 このような状況下で、『邪宗門』は「象徴詩」として出版されたにも拘らず、版を重ねるほどの人気を得ることとなる。「氏はたとひあの『邪宗門』一巻のみを置土産として詩壇から退いて居たとしても、本邦の詩壇のみならず、文壇の上に、たしかに永遠不朽の功績を殘したに相違無いのである。」と言われるほど、衝撃的なものだったのである。しかし、『邪宗門』の先行研究には、「象徴詩とするには本質的にもかなり問題があると思われる」というように、『邪宗門』が「象徴詩」であるかどうかという点をめぐって、異論がさまざま出されている。
 「自然主義との交渉」があったとして、『邪宗門』を「象徴詩」と認めながら、「象徴詩」の進化を述べている先行研究もあるが、実は、『邪宗門』は「象徴詩」ではないのだ。自然主義象徴主義が対立する中で、「象徴詩」を意識的に書こうとしたことは確かである。しかし『邪宗門』は、音楽的であるよりもむしろ絵画的であり、白秋自身の憧れが描き出されている。つまり、厳密には象徴主義よりも古い高踏派や、浪漫主義の影響が見られるのである。古いものを取り入れたことで反って「新しく」感じさせ、難解さと解りやすさの「バランス」が良かったことで、当時の人々に『邪宗門』は受け入れられた。特に、『邪宗門』を考える上で、浪漫主義は欠くことのできないものであるといえる。浪漫主義の性格が、当時の停滞した詩壇を動かしたといっても過言ではないのだ。


【発表2 柴田 文佳 氏 : 発表要旨】
 寺山修司は、俳句、短歌、詩、小説、映画、演劇などあらゆる表現のジャンルを横断し、それぞれにおいて才能を発揮した人物である。そのなかでも、韻文詩は表現者としての出発を支えたものであり、寺山にとって大きな意味を持つといえる。特に、長い伝統と厳格な定型を持つ短歌という表現方法を選んだことは興味深い。
 寺山修司歌人としての出発は、昭和二十九年に「チエホフ祭」五十首が『短歌研究』新人賞を受賞するところから始まる。「人生の若葉の候を、ひたすら歌ひ、祝ひ、悲しみ、かつ記念した歌人」と塚本邦雄から評され、歌人としての寺山は一躍、文壇から注目されることとなる。後に寺山は、「「今少しばかりのこっているもの」を粗末にすることができなかった。」と「定型詩」に関心を持った動機を語り、「縄目なしには自由の恩恵はわかりがたいように、定型という枷が僕に言語の自由をもたらした。」(「僕のノオト」『空には本』)と述べている。あらゆる表現ジャンルに縛られることのなかった寺山が、なぜ定型である短歌に強い関心を示し、また、なぜ定型が寺山に「言語の自由」をもたらしたのか。本発表では、寺山の短歌歌集が収められている『空には本』(昭和三十三年)『血と麦』(昭和三十七年)『田園に死す』(昭和四十年)の三つの歌集を中心に考察を行う。その際、先行論を参照しつつ、寺山の定型に対する認識について新たな言及を見出したいと考える。


* ご報告の資料は、いずれも当日配布の予定です。
                         敬具
   5月26日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。連日、初夏を思わせるような陽気が続いております。
会員の皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。上記のとおり、次回の定例研究会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 先の4月例会は、古閑章さんの宮尾登美子天璋院篤姫」に関するご報告でした。宮尾登美子の同作品に関して、多くの資料を踏まえながら、作品に沿った緻密な読みが展開され、宮尾登美子の歴史叙述を視座として、「歴史をいかに語るか」という根本問題に迫る、スケールの大きなご報告でした。
 報告後の質疑においても、参加者による活発な議論が交わされました。
 お忙しい中ご参加いただいた会員の皆様、ありがとうございました。

* 次回例会は、5月例会と6月例会を合同で開催する形で、お二人の報告者による研究会を予定しております(5月例会は諸般の事情にて順延いたしました)。
 お一方は松本有紀氏(熊本大学大学院教育学研究科)で、北原白秋について、もうお一方は柴田文佳氏(熊本大学大学院社会文化科学研究科)で、寺山修司に関してご報告予定です。近現代詩歌史に関わる、2本立ての特集となりました。
 次回開催日について、他行事との関連で6月21日(土)を予定しております。
 お忙しい折ですが、当日はご参加いただけましたら幸いです。

* 本格的な梅雨に向かう折柄、湿気がちな時節が近づいております。
ご体調をくずされませんよう、会員の皆様、お体はくれぐれもご自愛ください。
                         (坂元)

熊本近代文学研究会4月例会のお知らせ

会員の皆様
拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
さて、熊本近代文学研究会 4月例会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。

    記

 【日時】  4月26日(土) 午後2時より

 【会場】  熊本大学 文学部会議室

 【発表者】 古閑 章 氏
 
 【発表題目】 宮尾登美子天璋院篤姫」の世界

 【発表要旨】
 「明治維新」という言葉がある。「明治は維(こ)れ新なり」「明治は維れ新し」と訓む。明治の御代はすべて新しいという意味である。また、「御一新」という言葉もある。前者は官製用語で、官から民に下された響があり、後者は民衆用語で、国民が政府の断行するさまざまな改革を驚きと興味の眼差しで受け止めた語感を持つ。そしてこの両者はともに近世と近代を分かつ一八六八年(明治元)のメルクマールと見なしてよい。
 いったいこの百五十年間に日本人の経験した歴史とはどういうものだったのか。一口に激動の時代と言うけれども、その中から重要な結節点を挙げれば、ただちに明治維新期と敗戦前後が思い浮かぶ。そしてこのふたつは、疾風怒濤という形容が誇張ではない、まさに現実の変容過程が国民の想像力の度合を追い越してしまった途方もない混乱期であった。むろん一九五六年(昭和31)生まれの私は、書物や公教育の知識を動員することによってふたつの態様を想像することはできる。しかし、一八六八年前後の二十年間や一九四五年(昭和20)前後の十年間を実際に生きた人のように受け止めることは難しいのではなかろうか。この百五十年間における「明治維新」と「敗戦」は、想像力だけでは補えない日本人にとって未曽有の体験を強いるものだったと考えられるのである。
 にもかかわらず、私はあえて幕末から明治にかけての変革期を懸命に生きたひとりの女性の生涯を追跡しようと思う。その女性は鹿児島生まれの「天璋院篤姫」。宮尾登美子氏が描いた小説の主人公である。その場合、歴史家でない私の方法は、文学作品に描かれた篤姫の強靭な精神を復元するもので、歴史的存在としての篤姫を実証的に浮かび上がらせるというより、宮尾氏が創造した篤姫から何が抽(ひ)き出せるのかを検討することにある。
 幕末の薩摩藩江戸幕府の緊張関係のもと、大奥という特殊な社会を生きた女性の生涯を百五十年経った二十一世紀初頭の鹿児島や日本の視点から振り返る。ひとりひとりの日本人が内奥に秘めている規範意識を、幕末から明治に至る五十年を必死に駆け抜けた人間の生き方に重ねつつ問い直したい。

  * 宮尾登美子 「天璋院篤姫」(上・下)は講談社文庫に所収されています。
    また、ご報告の資料は、当日配布の予定です。

                         敬具

   4月7日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。桜も満開を迎え、春まさにたけなわの候となりました。
会員の皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。上記のとおり、4月の定例の研究会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 先の3月例会は、矢追真さん(熊本大学大学院)による、太宰治の中期作品「東京八景」を論じたご発表でした。「東京八景」や「富嶽百景」、さらに「津軽」までを射程に収めながら、太宰中期作品の意味を截り取ろうとする試論、課題を含みつつも今後の展開に期待を覚えたご報告でした。
 年度末のご多忙の折、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
 
* 次回の4月例会は、先にお知らせしておりました通り、古閑章さんの宮尾登美子天璋院篤姫」論です。篤姫の地元である鹿児島にお住まいの古閑さんならではの新鮮で独創的な視点、ご報告が興味深く待たれます。
 新年度を迎えてお忙しい折ですが、当日はご参加いただけましたら幸いです。

* 桜花爛漫の景色の傍ら、花冷えの不安定な天候が続いております。
ご体調をくずされませんよう、会員の皆様、お体はくれぐれもご自愛ください。
                         (坂元)

熊本近代文学研究会3月例会のお知らせ

熊本近代文学研究会会員の皆様

拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。

さて、熊本近代文学研究会 3月例会を下記のとおり

開催いたしますので、ご案内申し上げます。

    記

【日時】  3月29日(土) 午後2時より

【会場】  熊本大学 文学部会議室

【発表者】 矢追 真 氏(熊本大学大学院)
 
【発表題目】太宰治中期作品論——「東京八景」を中心に

 【発表要旨】
 太宰治著「東京八景」は、昭和十六年一月『文学界』において発表され、同年五月刊の『東京八景』 (実業之日本社) に収録された。「東京八景」の先行研究は、安藤宏氏が「ほとんどの場合、作者の実生活を知りうる自伝的資料として「引用」されるのが常なのであって、作品の“事実 ” が即作家の実態像に直結されてしまう陥穽は、何よりも「東京八景」それ自体の作品論が、近年に至るまでほとんど皆無に等しかった事実に象徴的である」とする通り、作家論として展開される論が多く、本格的な作品論は緒についた段階である。
 確かに、太宰自身だと思われる「私」が過去「十年間」の「東京生活」を振り返る、という私小説形式の本作品は、その内容の全てを事実に基づいたものとするかはともかくとして、「完成度が高く」「太宰治を知るための欠くべからざる貴重な文献」であり、作家研究において重要な位置を占めていることは間違いない。今回の報告では、発表者の研究対象である太宰治の中期作品の中から、「要とも称すべき作品」 (相馬正一氏) とされる作品「東京八景」を取り上げて考察を行う。その際、作家論だけでなく作品論の先行論も参照しつつ、作家論と作品論の両面から、太宰中期作品への新たな視点を見出したいと考える。

* ご報告の資料は、当日配布の予定です。

                         敬具

   3月10日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。3月に入り、ようやく寒さも少しづつ和らいでまいりました。
会員の皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。上記のとおり、3月の定例の研究会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 先の2月例会は、永井康太郎氏(熊本大学大学院)による、近代日本における「農民」文学に関するご報告でした。明治末期から大正期にかけての「農民」「農村」に触れた文学作品・作家を概観した上で、特に農民文学者の犬田卯について、その文学観のあり方を探ろうとする展望的なご発表でした。質疑では、「農」と表現というテーマをめぐり、興味深い議論が交わされました。
 年度末のご多忙の折、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

* 3月例会は、矢追真氏の太宰治「東京八景」についてのご報告の予定です。虚構と事実の狭間で自己の「生」を巧妙に構築する太宰治の中期作品に対する読みの試み、お忙しい折ですが、当日はご参加いただけましたら幸いです。

* 2008年度の4月例会につきまして、ご報告予定の古閑章さんから、報告作品に関してのご連絡がありましたので、再度、お知らせいたします。

宮尾登美子 「天璋院篤姫」 (講談社文庫所収 上・下)

長編小説でもあり、早めにご入手の上お読みいただければ、とのことです。NHKドラマ「篤姫」も好評の折、古閑さんのご報告も興味深く待たれます。

* 日増しに暖かくなってはきたものの、まだ寒さの厳しい時節が続きます。風邪など引かれませんよう、会員の皆様、お体はくれぐれもご自愛ください。

追伸 研究会のお知らせを、今回より新たにお送りした方がおられます。もし本研究会のメール不要の場合は、その旨、下記坂元までお知らせください。
                         (坂元)

熊本近代文学研究会2月例会のお知らせ

熊本近代文学研究会 会員各位
拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
さて、熊本近代文学研究会 2月例会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。

    記

 【日時】  2月23日(土) 午後2時より

 【会場】  熊本大学教育学部 230教室

 【発表者】 永井 康太郎 氏(熊本大学大学院)
 
 【発表題目】 近代日本における農民文学について――犬田卯を中心に

 【発表要旨】 
 近代日本における農民文学運動が本格的に始まったのは、大正末期、特に大正十一年のシャルル・ルイ・フィリップ十三回忌記念講演以後とされている。この講演に際し、農民文学作家である犬田卯は読売新聞上で、「『長塚節氏を憶ふ』―シャルル・ルイ・フィリップ十三回忌に際して」という文章を発表しており、これがきっかけとなって日本で始めての農民文学グループである農民文芸研究会が発足される。これ以後、重農主義系やプロレタリア系など様々な形で農民文学作品が発表されるが、現在では農民文学という言葉すら聞かれなくなっている。
 発表では、農民文学運動が本格化する前後の状況を整理するために、明治末期から大正期にかけての農民・農村に触れた文学作品・作家を取り上げ、当時の農村・農民に対する意識・描かれ方を考察する。そして、農民文学者である犬田卯について、彼の農民文学観がどのようなものであったかを考察し、犬田を中心として当時の農民文学運動を改めて振り返り、現代からみた農民文学の意義とその影響を考えたい。

* ご報告の資料は、当日配布の予定です。

                         敬具

   2月 9日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。2月に入り、熊本でも連日厳しい寒さが続きますが、会員の皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。上記のとおり、2月の定例の研究会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 先の今年最初の1月例会は、熊本大学大学院の池田翼さんによる、中上健次の思想と文体におけるジャズ音楽の影響を論じるご報告でした。文学と音楽を架橋する意欲的な考察を受けて、活発な議論が交わされました。当日は、ご多忙の中、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
 
* 2月例会は、永井康太郎氏による近代日本における「農民」文学に関するご報告です。「農」をめぐる問題系については、文学・文化研究内部では近年は活発に研究が進められていると言えない状況ですが、その重要性は決して小さなものではなく、現在に通じる課題をいくつも含むように思われます。
 年度末のお忙しい折ですが、当日はご参加いただけましたら幸いです。

* 次年度の4月例会につきまして、ご報告予定の古閑章さんから、先に報告作品に関するご連絡がありましたので、お知らせいたします。

宮尾登美子 「天璋院篤姫」 (講談社文庫所収 上・下)

長編小説でもあり、早めにご入手の上お読みいただければ、とのことです。
今年話題の篤姫をめぐる宮尾作品、ご確認のほどお願いいたします。

* 立春は過ぎましたが、春とは名ばかりの厳しい寒さが続いております。
風邪など引かれませんよう、会員の皆様、お体はくれぐれもご自愛ください。

熊本近代文学研究会 1月例会

熊本近代文学研究会 会員各位

拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。

さて、熊本近代文学研究会 1月例会を下記のとおり

開催いたしますので、ご案内申し上げます。

    記

 【日時】  1月26日(土) 午後3時より

 【会場】  熊本大学教育学部 230教室

 【発表者】 池田 翼 氏(熊本大学大学院)
 
 【発表題目】 中上健次文学におけるモダン・ジャズの影響

                         敬具           
            
   1月 15日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。新たな年を迎えました。本年もよろしくお願いいたします。
上記のとおり、1月例会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 昨年最後の12月例会は、古江研也氏による中野重治「広重」に関する
ご発表が行われました。「広重」をめぐる多くの関連資料を参照しながら、
新たな作品解釈の可能性を提起する、たいへん刺激的なご報告でした。
 古江氏のいつもながらの熱意あるご発表を受けて、報告後は、活発な
質疑が交わされました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
 また、当日は例会後に懇親会が行われ、和やかな場となりました。
幹事の村田由美さん、道園達也さんには、深く感謝申し上げます。

* 次回例会は、熊本大学大学院の池田翼氏による中上健次論です。
中上健次の文体におけるモダン・ジャズの影響を検討する越境的な試み、
年頭のお忙しい折ですが、当日はご参加いただけましたら幸いです。
(発表要旨につきましては、あらためてメールにて送付いたします。)

* 1月例会の日程は上記の通り、1月26日(土)の開催となりました。
当初の予定より日程変更となり、会員の皆様にはご迷惑をおかけしますが、
ご了承のほど、どうぞお願いいたします。場所ほか、ご確認をお願いいたします。

* 寒中の候、熊本でも、連日冷え込みが厳しい日が続いております。
風邪など引かれませんよう、会員の皆様、お体はくれぐれもご自愛ください。   
      
                         (坂元)

熊本近代文学研究会12月例会のお知らせ

熊本近代文学研究会 会員各位
拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
さて、熊本近代文学研究会 12月例会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。

    記

  • 【日時】  12月15日(土) 午後3時より(開始時刻にご注意ください)
  • 【会場】  熊本大学文学部会議室
  • 【発表者】 古江 研也 氏
  • 【発表題目】中野重治 「萩のもんかきや」論

                         敬具
            
   12月 3日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。師走を迎えて、会員の皆様、ご多忙のことと存じます。
上記のとおり、12月例会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 11月例会は、堀畑真紀子氏が「児童文学における継子譚」と題して小川未明の作品「めくら星」「糸のない胡弓」に関して発表されました。日本の「継子」物に関して、近代以前の表現の系譜を詳細に検討された上で、それらへの未明作品の連続と不連続、そして独自性を丁寧に論じられました。堀畑氏の意欲的なご発表を受けて、当日は活気のある議論となりました。
 例会当日にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

* 次回例会は、古江研也氏による中野重治「萩のもんかきや」論です。古江氏の中野研究に関する最近のご見解、拝聴するのが楽しみです。年末のお忙しい折ですが、当日はご参加いただけましたら幸いです。
 なお、当日の例会の開始時刻は、午後3時からとなりましたので、よろしくご確認をお願いいたします(先のお知らせより変更しております)。

* なお、別メールにて既に会員の皆様にお知らせがございました通り、12月例会当日は、研究会の終了後に懇親会が予定されております。

  • 会場:鶴重(坪井4−3−1) 電話343−1992
  • 会費:4000円
  • 幹事:村田由美氏・道園達也氏

ご多忙の折ですが、懇親会の方もご参加いただけましたら幸いです。

* それでは、当日に皆様にお目にかかるのを楽しみにしております。師走に入り、熊本でも日増しに冷え込みが厳しくなってまいりました。風邪も流行の兆し、会員の皆様、お体はくれぐれもご自愛ください。
                         (坂元)

熊本近代文学研究会11月例会のお知らせ

熊本近代文学研究会 会員各位

拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
さて、熊本近代文学研究会 11月例会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。

    記

【日時】  11月24日(土) 午後2時より
【会場】  熊本大学くすの木会館 レセプションルーム
【発表者】 堀畑 真紀子 氏
【発表題目】児童文学における継子譚
      −小川未明「めくら星」(1919)「糸のない胡弓」(1920)−

【発表要旨】
 日本の神話をはじめ説話、物語には、ある尊貴な出自を有する主人公が災いによって地方に流離し、苦難を経てさらに復活するという、いわゆる「貴種流離譚」の物語展開を持つ話が多々ある。そしてこの「貴種流離譚」は、日本の昔話、ひいては近・現代の児童文学の中にも脈々と引き継がれている。今回発表する「継子譚」はそのバリエーションと言われている(折口信夫説)。本論は「継子譚」が時代によってどのように変化したかをさぐることで、児童文学における「貴種流離譚」の特徴を導き出すことを目標とする。
 発表では、まず「継子譚」の背景、室町時代の継子物語「鉢かづき」「はな世の姫」「うはかわ」の特徴、昔話の特徴を先行論文にみる。次に、近代児童文学の開拓者・推進者の一人である小川未明の「めくら星」「糸のない胡弓」の分析をすることで、彼の「継子譚」の特徴を考察する。

 * 小川未明「めくら星」「糸のない胡弓」は『定本 小川未明童話全集』1巻・2巻(講談社)に収録。
                         敬具
   11月 8日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。会員の皆様におかれましては、ご多忙のことと存じます。
上記のとおり、次回例会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 前回例会は、宮崎尚子氏による川端康成の小説「たまゆら」に関する研究発表が行われました。宮崎氏の詳細な「たまゆら」への読みを踏まえて、発表後の質疑においては、ご発表をめぐって活発な議論が展開されました。
 当日にご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

* 次回例会は、堀畑真紀子氏が「児童文学における継子譚」というタイトルで、小川未明の2つの作品に関してご発表をされる予定です。児童文学に関する精力的なご研究を続けておられる堀畑氏ならではの興味深い報告が期待されます。当日はご参加いただけましたら幸いです。
 なお、ご発表対象の小川未明作品のコピーを数部ほど、坂元の方でお預かりしておりますので、ご希望の方にはお渡しいたします。

* 11月は近代文学会九州支部の熊本での秋季大会も予定されており、会員の皆様には2週連続で学会・研究会が続く形となり、まことに恐縮です。研究会の定期開催という本年度の4月の方針もあり、ご理解を賜れればと存じます。なお、例会通知が遅くなりましたことについて、お詫び申し上げます。

* それでは、例会当日に皆様にお目にかかるのを楽しみにしております。
暑さの続いた熊本も、11月に入り、朝晩はめっきり冷え込むようになりました。
風邪などひかれませんよう、会員の皆様、お体はどうぞご自愛ください。
                         (坂元)