熊本近代文学研究会2月例会のお知らせ

熊本近代文学研究会 会員各位
拝啓 時下ますますご清栄のことと存じます。
さて、熊本近代文学研究会 2月例会を下記のとおり開催いたしますので、ご案内申し上げます。

    記

 【日時】  2月23日(土) 午後2時より

 【会場】  熊本大学教育学部 230教室

 【発表者】 永井 康太郎 氏(熊本大学大学院)
 
 【発表題目】 近代日本における農民文学について――犬田卯を中心に

 【発表要旨】 
 近代日本における農民文学運動が本格的に始まったのは、大正末期、特に大正十一年のシャルル・ルイ・フィリップ十三回忌記念講演以後とされている。この講演に際し、農民文学作家である犬田卯は読売新聞上で、「『長塚節氏を憶ふ』―シャルル・ルイ・フィリップ十三回忌に際して」という文章を発表しており、これがきっかけとなって日本で始めての農民文学グループである農民文芸研究会が発足される。これ以後、重農主義系やプロレタリア系など様々な形で農民文学作品が発表されるが、現在では農民文学という言葉すら聞かれなくなっている。
 発表では、農民文学運動が本格化する前後の状況を整理するために、明治末期から大正期にかけての農民・農村に触れた文学作品・作家を取り上げ、当時の農村・農民に対する意識・描かれ方を考察する。そして、農民文学者である犬田卯について、彼の農民文学観がどのようなものであったかを考察し、犬田を中心として当時の農民文学運動を改めて振り返り、現代からみた農民文学の意義とその影響を考えたい。

* ご報告の資料は、当日配布の予定です。

                         敬具

   2月 9日
             熊本近代文学研究会
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* 坂元です。2月に入り、熊本でも連日厳しい寒さが続きますが、会員の皆様におかれましては、ご健勝のことと存じます。上記のとおり、2月の定例の研究会を企画しておりますので、ご案内申し上げます。

* 先の今年最初の1月例会は、熊本大学大学院の池田翼さんによる、中上健次の思想と文体におけるジャズ音楽の影響を論じるご報告でした。文学と音楽を架橋する意欲的な考察を受けて、活発な議論が交わされました。当日は、ご多忙の中、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
 
* 2月例会は、永井康太郎氏による近代日本における「農民」文学に関するご報告です。「農」をめぐる問題系については、文学・文化研究内部では近年は活発に研究が進められていると言えない状況ですが、その重要性は決して小さなものではなく、現在に通じる課題をいくつも含むように思われます。
 年度末のお忙しい折ですが、当日はご参加いただけましたら幸いです。

* 次年度の4月例会につきまして、ご報告予定の古閑章さんから、先に報告作品に関するご連絡がありましたので、お知らせいたします。

宮尾登美子 「天璋院篤姫」 (講談社文庫所収 上・下)

長編小説でもあり、早めにご入手の上お読みいただければ、とのことです。
今年話題の篤姫をめぐる宮尾作品、ご確認のほどお願いいたします。

* 立春は過ぎましたが、春とは名ばかりの厳しい寒さが続いております。
風邪など引かれませんよう、会員の皆様、お体はくれぐれもご自愛ください。